脈を診ると何がわかるの?

― 脈は「病気」を当てるものではなく、身体全体の状態を知る大切な手がかりです ―

はじめに

経絡治療では

 施術を始める前に手首の脈を診ます。


すると患者さんから

「脈を診るだけで何が分かるのですか?」

「脈拍を数えているのですか?」

「病気が分かるのですか?」

というご質問をいただくことがあります。


確かに

両方の手首に触れて

圧をかけたり、浮かせたり、不思議に思われますよね。


実は

経絡治療で脈を診る目的は

病気を見つけることではありません。


東洋医学では

脈は
**身体全体の状態を映し出す"大切なメッセージ"**

だと考えられています。


今回は

経絡治療で脈を診る理由をご紹介します。

西洋医学と東洋医学では、「脈を診る目的」が違います

病院で脈を診る時は

脈拍数やリズム

不整脈の有無などを確認し

心臓や循環器の状態を評価します。


これは西洋医学において
とても大切な診察です。


一方
東洋医学では

脈拍の速さだけではなく

身体全体のバランスが
今どのような状態なのか

を知るために脈を診ます。


つまり

同じ「脈を診る」という行為でも

見ているもの

目的そのものが異なるのです。


どちらが正しい・間違っているではなく

それぞれ違う視点から

身体を診ています。

なぜ手首の脈から身体全体が分かるのでしょうか

「手首を触るだけで、身体全体が分かるなんて本当?」

そう思われる方もいらっしゃるでしょう。


東洋医学では
気や血は経絡を通って全身を巡っていると考えています。

 
以前のブログで

経絡を「身体の鉄道路線」に例えてご紹介しました。
👉  経絡って何ですか?


もし

どこかの路線でトラブルが起きれば

その影響は乗り換え駅や他の路線にも広がっていきます。


身体も同じです。


身体全体のバランスが崩れると

その変化は経絡を通じて全身に現れ

その一つの現れとして

脈にも反映されると考えられています。


つまり脈は

心臓だけの情報ではなく

身体全体の「今の状態」を映し出す窓

でもあるのです。

脈から診ているのは、「病気」ではなく「調和」です

患者さんの中には

「脈で病気を当てるのですか?」

と思われる方もいらっしゃいます。


しかし経絡治療では 

病名を当てることを目的にはしていません。


診ているのは

身体全体の調和が保たれているかどうかです。


例えば

疲れが続いている方。


同じ「疲れやすい」という症状でも

身体の中では 

気が不足している方もいれば 

巡りが滞っている方もいます。


一方で 
冷えが関係している方もいれば 

熱がこもっている方もいます。


外から見える症状は同じでも

身体の中で起きていることは

一人ひとり違います。


その違いを知るために

脈は大切な情報を教えてくれるのです。

脈だけでは判断しません

ここで大切なのが

経絡治療は「脈診だけ」で施術を決めるわけではない

ということです。


以前ご紹介したように

東洋医学には
**四診法(ししんほう)**があります。

  • 望診(ぼうしん)
  • 聞診(ぶんしん)
  • 問診(もんしん)
  • 切診(せっしん)


脈診は
その中の切診の一つです。


さらに

腹診や皮膚の状態なども確認し

それらすべてを総合して

その方の**証(あかし)**を見立てます。


つまり

脈は大切な情報ですが

一つだけで答えを出すことはありません。


身体全体を多角的に診る
からこそ

一人ひとりに合わせた施術につながるのです。

施術のあとにも脈を診る理由

当院では

施術前だけでなく

施術後にも脈を確認します。


それは

施術によって
身体全体のバランスが
どのように変化したかを確認
するためです。


本治法によって
経絡の流れが整うと

施術前とは
脈の印象が変わることがあります。


もちろん

「脈が変わったから良い。」

という単純な話ではありません。


患者さんが

「呼吸がしやすくなった。」

「肩の力が抜けた。」

「身体が軽く感じる。」

という変化も大切にしています。


施術者が感じる脈の変化と

患者さん自身が感じる身体の変化。


その両方を確認しながら施術を進めることで

よりその方に合った施術へとつなげています。

脈診は、「その人らしい健康」を知るために行います

経絡治療では

「正常な脈はこれ。」

という一つの答えを求めているわけではありません。


一人ひとり

体質や生活環境

年齢

日々の過ごし方は異なります。


そのため
経絡治療では

誰かと比べて

「正常・異常」を判断するのではなく

その方本来の身体のバランスが保たれているか

を大切にみていきます。


脈は

そのための大切な手がかりの一つです。

最後に

手首の脈に指を当て

浅いところや深いところの脈を

丁寧に確認しながら行う脈診。

一見すると

とても静かな動作に見えるかもしれません。


しかし

そのわずかな脈の変化の中には

身体全体の状態を知るための

多くの情報が含まれていると

東洋医学では考えられています。


もちろん

経絡治療では脈だけで施術を決めることはありません。


望診・聞診・問診・切診からなる

四診法で得られた情報を総合し

その方の**証(あかし)**を立てます。


そして

その証(あかし)に基づいて

身体全体のバランスを整える本治法を行い

さらにお困りの症状に合わせた
標治法を組み合わせながら

施術を進めていきます。


脈診は

病気を見つけるためだけではなく

その方の身体が

今どのような状態にあり

どのような施術が必要なのか

を考えるための大切な手がかりの一つです。


だからこそ経絡治療では

「肩が痛いから肩だけをみる」

「腰が痛いから腰だけに施術をする」

という考え方ではなく

身体全体を丁寧にみて

その方に合った施術を組み立てること

を何より大切にしています。


東洋医学では

脈は身体からの大切なメッセージの一つです。


ご自身では気づいていない

身体のバランスが見えてくることもあります。


無理に施術をおすすめすることはありませんので

「東洋医学ではどのように自分の身体をみるのだろう」

と興味を持たれた方は、一度ご相談ください。

関連リンク

・同じ症状でも、なぜ鍼をする場所がちがうの?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0701om/

・気って何ですか?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0702om/

・経絡って何ですか?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0703om/

・どうしてお腹を触って診るのですか?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0704om/

・どうして一本の鍼で身体が変わるのですか?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0705om/