どうしてお腹を触るのですか?
― お腹の状態も、お身体をみるための大切な手がかりです ―

鍼をする前に、お腹を触ることがあります
当院の鍼灸を受けたことがない方は、
「どうして鍼をする前に、お腹を触るんだろう?」
と思われるかもしれません。
私の施術では、仰向けになっていただいた時に、お腹を触れて状態を確認していきます。
これは、ただお腹の硬さを見ているわけではありません。
東洋医学では、お腹もお身体の状態をみるための場所の一つとして考えます。
お腹に触れることで、その時のお身体について分かることがあります。
お腹にも、その時のお身体の状態が出ています
実際にお腹を触ってみると、場所によって感じ方が違います。
「ここは少し硬いな」
「こちらは張っているな」
「ここは少し力がないな」
というように、触れた時の感覚が同じではないことがあります。
温かく感じるところと、少し冷たく感じるところがあったり、押した時の感じ方が違ったりすることもあります。
こうしたお腹の状態を確認することを、東洋医学では**腹診(ふくしん)**といいます。
お腹の「どこ」を触っているのですか?
腹診では、お腹全体をなんとなく触っているわけではありません。
経絡治療では、お腹をいくつかの場所に分けて、その状態を確認していきます。
触れた時の硬さや張りだけでなく
皮膚の感じ、温度、凹み、力の入り方なども指や手のひらで感じます。
同じお腹でも、場所によって違うことがあります。
左右で違うこともあります。
教科書にある位置を頭に置きながら、実際のお身体に触れてみる。
ここでも、指や手から得られる情報を大事にしています。
お腹を触るだけで、すべてを決めるわけではありません
腹診をしたからといって、
「ここが硬いから、この経穴に鍼をする」
と、それだけで決めるわけではありません。
これまでの記事でもお話ししてきたように、
脈診や切経、お話を伺った内容など、いくつもの情報を合わせて考えています。
お腹(腹診)も、その中の一つです。
お腹を触った時に感じたことが、
脈やほかのお身体の反応と重なることもあります。
逆に、思っていたものと違うこともあります。
そういう時も含めて、ほかの情報と合わせて考えていきます。
鍼をする前と、鍼をした後で変わることがあります
腹診は、鍼をする前だけではありません。
施術の途中や、鍼をした後にもう一度お腹を確認することもあります。
最初に触れた時と比べて、
「さっきより柔らかくなった」
「張り方が変わった」
「触れた時の感じが違う」
など、変化を感じることがあります。
そうした変化も、その後の施術を考えるための手がかりになります。
切経や脈診と同じように
施術の前後でお身体がどう変わったのかを確認するために、お腹を触れることがあります。
お腹を触ることと、鍼をすることはつながっています
患者さんからすると、
「お腹を触ること」と「手や足に鍼をすること」は、別々のことに見えるかもしれません。
でも、経絡治療ではつながっていて、とても大切なことです。
お腹を触って、お身体の状態を考える。
↓
その情報も含めて経穴を選ぶ。
↓
鍼をする。
↓
その後のお腹や切経、脈の変化を確認する。
↓
その変化を見ながら、次の施術を考える。
お腹を触ることも、その日の施術を組み立てるための一つの情報になっています。
「お腹が硬い=悪い」ということではありません
ここは少し誤解されやすいところです。
お腹を触って硬いところがあったからといって、
「硬いから悪い」
と単純に考えているわけではありません。
どの場所が、どのような感じなのか。
左右で違いがあるのか。
ほかのお身体の反応とどうつながっているのか。
その時の状態を見ながら考えます。
腹診だけで判断するのではなく、ほかの情報と合わせて、その方のお身体をみていきます。
お腹は、自分では気づきにくいところかもしれません
肩や腰の痛みなら、
「今日はつらいな」
と自分でも気づきやすいですよね。
でも、お腹のどこが硬いのか、どこに張りがあるのかは、自分では分かりにくいこともあります。
施術を受けている時に、
「ここ、こんなに硬いんですか?」
と驚かれることもあるかもしれません。
自分で感じている症状とは別のところに、お身体の反応が出ていることもあります。
そうしたところも含めて触れていくのが、腹診です。
指や手のひらで感じることを大切にしています
今回の記事でも「指先」が出てきました。
前回の「生きたツボ」の記事では、経穴を探す時に指先で反応を探していることを書きました。
腹診でも、同じように指を使い、手のひらも使っていきます。
お腹を触れて、硬さや張り、温度などを感じる。
左右を比べる。
ほかの場所も確認する。
その時に感じたことを、脈や切経などの情報と合わせて考えます。
お腹を触る時間も、私にとっては施術の一部です。
最後に
「どうして鍼灸院でお腹を触るんだろう?」
と思っていた方もいるかもしれません。
腹診は、お腹だけを見て何かを決めるためのものではありません。
お腹に触れて分かることも、その方のお身体を考えるための一つの情報です。
施術前のお腹と、施術後のお腹。
その違いも確認していきます。
「お腹を触られているけど、何を見ているんだろう?」
そんなふうに思ったことがある方には、今回の記事で少しイメージしていただけたかなと思います。
お身体のこと、気になることがありましたら
「自分のお身体の状態について相談してみたい」
「鍼灸を受けてみたいけれど、どんなことをするのか分からない」
という方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
無理に施術をおすすめすることはありませんので、気になることがありましたら、一度ご相談ください。
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