鍼を刺したまま、しばらく置いておくのですか?
― 私が行っている脉診流・経絡治療では、鍼先に意識を向けながら施術しています ―

鍼を刺したままにする「置鍼」
鍼灸院で鍼を受けたことがある方は
「鍼を刺したあと、そのまましばらく横になっていた」
という経験があるかもしれません。
鍼を身体に刺した状態で
一定時間そのままにしておく方法を**置鍼(ちしん)**といいます。
鍼灸では、置鍼を行う施術もあります。
そのため
「鍼を刺したら、しばらく置いておくもの」
と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし
鍼灸にはさまざまな流派や施術方法があり、
すべての鍼灸が同じ方法で行われるわけではありません。
私が行っている脉診流・経絡治療では、基本的に置鍼を行いません
私が行っている脉診流・経絡治療では
本治法・標治法ともに、基本的に置鍼は行っていません。
鍼を刺したら、そのまま時間を置いておくのではなく
鍼先やお身体の状態に意識を向けながら、必要な手技を行います。
そのため
「鍼を刺して、○分待つ」
ということを一律に行っているわけではありません。
鍼を刺したら、そこからが施術です
私の施術では
鍼を皮膚に刺入した後も、鍼柄から手を離しません。
まず
「今、この鍼にどのような手技が必要なのか」を考えます。
補法なのか。
瀉法なのか。
それ以外の瀉法の手技なのか。
そして
その方のお身体の状態に合わせて手技を行います。
刺入する角度や深さも、その方の状態によって変わります。
そのため、鍼を刺すこと自体が目的なのではなく
刺入した鍼を通して、その時のお身体に必要な施術を行っていく
というイメージです。
すぐに抜鍼することもあります
「鍼を刺したら、しばらく置いておく」というイメージがあると
「すぐに抜いたら、何もしていないのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、そうではありません。
その鍼で必要な手技を行い
身体の変化を感じ取り、抜鍼します。
すぐに抜鍼することもあります。
少し長めに鍼をしていることもあります。
鍼先を動かしながら手技を行い、身体の変化を感じています。
つまり
「何分置くか」を基準にしているのではなく
その時のお身体に必要な変化を感じてから抜鍼する
という考え方です。
補法と瀉法でも、抜鍼の仕方が違います
補法と瀉法については、前回の記事でもご紹介しました。
実際の施術では、抜鍼の仕方にもその考え方が関係します。
補法を行った場合には
補ったものを漏らさないように、素早く抜鍼して鍼穴を閉じます。
一方、瀉法を行った場合には
身体の外へ出すことを考えて、ゆっくりと鍼を引き抜くことがあります。
このように
鍼を刺してから抜くまでの一連の動きにも、それぞれ意味があります。
単純に「鍼を刺して、時間が経ったら抜く」というものではありません。
その方によって、鍼をしている時間も変わります
同じ経穴を使ったとしても
「必ず○分置く」とは限りません。
すぐに抜鍼する場合もあれば
少し長めに留める場合もあります。
鍼先を動かしながら手技を行う場合もあります。
それは
時間を長くすれば良い
短ければ良いということではなく
その方のお身体の状態に合わせて、必要な施術を行っているからです。
前回の記事でお話ししたように
鍼の刺激も「強ければ良い」というものではありません。
時間についても同じです。
長く鍼をしていれば良い、というわけではありません。
鍼を抜いた後も、お身体の変化を確認します
鍼を抜いて、「これで終わり」というわけでもありません。
鍼をした周囲のお身体の変化を切経で確認します。さらに、脈診でも脈状の変化を確認し、腹診で腹部の変化を確認します。
鍼をする。
↓
切経で変化を確認する。
↓
脈診で変化を確認する。
↓
腹診で変化を確認する。
↓
その変化をもとに、次の経穴や手技を考える。
このように
一つひとつの施術を積み重ねながら、その日の施術を進めています。
「置鍼をしない=刺激が少ない」ということではありません
置鍼をしないと聞くと
「では、刺激が少ない施術なのですか?」
と思われるかもしれません。
しかし
置鍼をするかどうかと、施術の刺激量は別の話です。
大切なのは
その方のお身体に必要な手技を、必要なタイミングで行うこと。
私が行っている脉診流・経絡治療では
鍼を刺したまま時間を置くことそのものを目的としていません。
鍼先に意識を向け
お身体の変化を感じ取りながら
その方に必要な施術を行っています。
最後に
鍼灸には、さまざまな施術方法があります。
鍼を刺したまま一定時間置く方法もあれば
鍼を刺している間に手技を行い、必要なところで抜鍼する方法もあります。
どちらが良い・悪いということではありません。
それぞれに考え方や方法があります。
私が行っている脉診流・経絡治療では
「鍼を刺して、時間を置く」ことではなく
鍼を刺してから抜くまでの間も
お身体の状態に合わせて施術すること を大切にしています。
「鍼って、刺した後は何をしているの?」
「どうしてすぐ抜くことがあるの?」
「置鍼と何が違うの?」
そんな疑問をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
関連するブログ
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「一本の鍼で、何をしているのですか?」
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「補法・瀉法って何ですか?」
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「鍼の刺激は、強ければ良いのですか?」
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