どうして毎回、身体全体の状態を確認するのですか?
― 東洋医学では、「今日の身体」を大切にして施術を行います ―

はじめに
「前回とは違う場所に鍼をしましたね。」
長く通われている患者さんから
このようなお話をいただくことがあります。
「同じ肩こりなのに、今日は手に鍼をした。」
「前回は足のツボだったのに、今日は違う場所だった。」
不思議に感じられるかもしれません。
病院では
同じ病気であれば
同じ治療が行われることが多いため
毎回施術が変わることに
驚かれる方もいらっしゃいます。
しかし
経絡治療では施術が毎回変わることは
とても自然なことです。
それは
症状だけではなく
「今日の身体」の状態を大切にしているからです。
今回は
なぜ同じ人でも施術内容が変わるのか
その理由をご紹介します。
私たちの身体は、毎日少しずつ変化しています
「昨日と今日で、身体は同じですか?」
そう聞かれると
くの方は「同じ」と思われるかもしれません。
しかし実際には
私たちの身体は毎日少しずつ変化しています。
例えば
昨日はよく眠れた。
今日は寝不足だった。
昨日は仕事が休みでゆっくり過ごせた。
今日は忙しく、一日中気を張っていた。
昨日は涼しかった。
今日は真夏のような暑さだった。
このように
生活や気候
疲れ方
気持ちの状態は、毎日違います。
そうした変化に合わせて
身体の気や血の巡りも
少しずつ変化しています。
つまり
昨日と今日では
「身体の状態」が同じとは限らないのです。
天気が毎日変わるように、身体も毎日変わります
「天気」を思い浮かべてみてください。
昨日は晴れていても、今日は雨かもしれません。
同じ夏でも、涼しい日もあれば、とても暑い日もあります。
だから私たちは
暑い日は薄着をしたり
雨の日は傘を持って出かけたりと
その日の天気に合わせて行動を変えています。
身体も同じです。
毎日まったく同じ状態で過ごしている人はいません。
だから経絡治療では
「前回はこうだったから、今回も同じ施術。」
ではなく
「今日はどのような身体の状態なのだろう。」
ということを、毎回あらためて確認します。
その日の身体に合わせて施術を考えることが
経絡治療ではとても大切なのです。
だから毎回、四診法で身体全体を確認します
以前の記事でもご紹介したように
経絡治療では
- 望診(ぼうしん)
- 聞診(ぶんしん)
- 問診(もんしん)
- 切診(せっしん)
という四診法を大切にしています。
「前回診たから、今日は診なくても大丈夫。」
とは考えません。
なぜなら
その方の身体は毎日変化しているからです。
脈の状態
お腹の状態
お身体の様子
お話の内容
それらを総合的に確認しながら
「今日はどのような状態なのか。」
を丁寧にみていきます。
そして
その日に最も適した施術方針を考えていきます。
四診法でわかったことを、一つにつなげて考えます
経絡治療では
脈だけを見て判断することも
お腹だけを見て判断することもありません。
例えば
脈では少し元気が不足しているように感じても
お腹では別の反応がみられることがあります。
また、お話を伺うことで
「最近忙しくて睡眠不足が続いている。」
「暑さで食欲が落ちている。」
といった背景がわかることもあります。
このように
四診法で得られた情報を一つひとつ集め
身体全体の状態を総合的に考えることが
経絡治療の特徴です。
そして
その日の身体の状態を表す
**「証(あかし)」**を立て
施術方針を決めていきます。
以前の記事でご紹介したように
「証」は病名ではなく
その方の身体全体の状態をもとに考える施術の方針です。
だからこそ
同じ方であっても
その日の身体の状態によって証が変わることがあります。
証が変われば、選ぶ経絡やツボが変わることもあります
患者さんから
「前回とは違う場所に鍼をしましたね。」
と言われることがあります。
これは、前回と今回で身体の状態が違っていたからです。
経絡治療では
証に合わせて整える経絡を考え
その経絡の中から
その日に最も適した **経穴(ツボ)** を選びます。
さらに、以前の記事でもお伝えしたように
実際には、切経(せっけい)を行い
反応のある「生きているツボ」を探して施術します。
そのため
前回と同じツボを使うこともあれば
違うツボを選ぶこともあります。
これは、「前回と違うことをするため」ではありません。
その日の身体に
今もっとも必要だと 考えられる施術を行っている結果なのです。
目指しているのは、「今日の身体」に合った施術です
経絡治療では
「前回と同じだから安心。」
「毎回違うから良い。」
という考え方ではありません。
大切なのは、今日の身体に合っているかどうかです。
例えば、洋服を選ぶときも
真夏と真冬で同じ服を着る人はいません。
雨の日と晴れの日でも、選ぶ服は変わります。
私たちは、その日の気候や体感に合わせて自然に服を選んでいます。
身体も同じです。
毎日少しずつ状態が変化するからこそ
その日に合わせた 施術を行うことが大切なのです。
経絡治療は
決まった手順を機械的に繰り返すのではなく
その日
その方の身体全体の状態を大切にしながら
施術を組み立てています。
最後に
私たちの身体は、毎日少しずつ変化しています。
季節の移り変わり。
仕事や家事による疲れ。
睡眠や食事。
気温や湿度。
こうした日々の積み重ねによって
身体の状態は少しずつ変わっていきます。
だからこそ経絡治療では
毎回、身体全体の状態を確認することを大切にしています。
四診法を通して
その日の身体を総合的にとらえ
証を立て
その方に合った施術を組み立てていく。
それは
同じ症状だけを見るのではなく
その日、その方の身体全体に向き合うためです。
「今日はどのような身体の状態なのだろう。」
そんな視点を大切にしながら 施術を行うことが
経絡治療の大きな特徴の一つです。
無理に施術をおすすめすることはありませんので
「自分の身体全体を丁寧にみてもらいたい」
「その日の身体に合った施術を受けてみたい」
と感じられた方は、一度ご相談ください。
関連リンク
・どうしてお腹を触って診るのですか?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0704om/
・脈を診ると何がわかるの?
https://shinshin-chouwa.com/blog2026-0706om/
・「証(あかし)」って何ですか?
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・経穴(けいけつ・ツボ)って何ですか?
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・自然治癒力って何ですか?
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