鍼灸を受けるとき、「症状」以外に何を伝えればいいの?
― 小さな変化も、身体をみる大切な手がかりです ―

「どんなことを伝えればいいですか?」
初めて鍼灸を受ける方から、こんな質問をいただくことがあります。
「肩がこっています」
「頭が痛いです」
「最近、疲れやすいです」
このように、気になっている症状を伝えるのはもちろん大切です。
ただ、経絡治療では、症状だけを聞いて施術するわけではありません。
たとえば、
最近の睡眠や食欲、
便通、
冷え、
疲れ方、
生活の変化なども、
その日の身体の状態を知るための手がかりになります。
「こんなことまで話していいのかな?」と思うようなことでも、身体の変化につながっていることがあります。
今回は、鍼灸を受けるときに、症状以外にどんなことを伝えていただくとよいのかについてお話しします。
まずは、一番気になっていることを教えてください
最初から全部を整理して話そうとしなくても大丈夫です。
まずは、
「今、一番気になっていること」
を教えてください。
たとえば、
「最近ずっと疲れています」
「肩こりがつらいです」
「夜中に目が覚めます」
「なんとなく身体が重いです」
という程度でも大丈夫です。
そこから、
「いつ頃からですか?」
「最近、何か変わったことはありましたか?」
「その症状以外に気になることはありますか?」
など、お話を伺いながら確認していきます。
気になる症状をお伝えいただければ、
施術をさせていただく院長がご質問していきますので、それに対してお答えいただければ大丈夫です。
来院する前に症状をきれいにまとめておく必要はありません。
気負わずにご来院ください。
「症状以外」のことも身体をみる手がかりになります
経絡治療では、症状が出ている場所だけをみるのではなく、身体全体の状態をみていきます。
そのため、症状以外にも、たとえば次のようなことをお聞きすることがあります。
睡眠
「寝つきが悪い」
「夜中に目が覚める」
「朝早く目が覚める」
「寝ても疲れが取れない」
など、眠りについての変化です。
「眠れているから問題ない」とは限りません。
以前より眠りが浅くなっていたり、朝の目覚めが変わっていたりすることもあります。
食欲や胃腸の状態
「食欲が落ちている」
「以前より食べられない」
「食後に胃が重い」
「便通が変わった」
といったことも、身体の状態をみるうえで参考になります。
「肩こりで来たのに、食欲のことまで話すの?」
と思われるかもしれません。
でも、経絡治療では一部分だけで身体を判断しません。
症状とは直接関係がないように思える変化も、身体全体をみるための情報になります。
冷え や 汗
「手足が冷えるようになった」
「以前より汗をかくようになった」
「冷房がつらい」
「足だけ冷える」
なども、できれば教えてください。
本人にとっては「体質だから」と思っていることでも、以前と比べて変化している場合があります。
疲れ方
「夕方になると疲れる」
「朝から身体が重い」
「休んでも疲れが取れない」
「以前より疲れやすくなった」
など、どのように疲れるのかも大切です。
単に「疲れています」と言っても、人によって疲れ方は違います。
いつ疲れるのか、休むと楽になるのか、何をすると疲れやすいのか。
そうしたことも身体をみる手がかりになります。
最近の生活の変化も教えてください
身体の状態は、毎日の生活とも関係しています。
たとえば、
「仕事が忙しくなった」
「残業が続いている」
「引っ越しをした」
「家族のことで忙しかった」
「運動する時間がなくなった」
「食事の時間が不規則になった」
などです。
大きな出来事でなくても構いません。
「最近ちょっと忙しかった」くらいでも、その人にとっては身体に負担がかかっていることがあります。
逆に、仕事が落ち着いた、よく眠れるようになった、食事を見直したなど、良い変化も教えてください。
前回から何が変わったのかを知ることで、今のお身体をみるときの参考になります。
「前回と違う」ということも大切な情報です
定期的に鍼灸を受けている方の場合は、
「前回は肩がつらかったけれど、今回はそこまで気にならない」
ということもあります。
それも大切な変化です。
症状が軽くなったことだけではなく、
「よく眠れるようになった」
「朝が楽になった」
「疲れにくくなった」
という変化もあります。
反対に、
「前回より眠りが浅い」
「最近、冷えを感じるようになった」
「また疲れがたまってきた」
という変化もあります。
経絡治療では、前回と同じことを繰り返すのではなく、そのときのお身体の状態をみて施術します。
そのため、「前回と違う」ということは、とても大切な情報になります。
「特に変わったことはありません」でも大丈夫です
反対に、
「特に変わったことはありません」
「よく分かりません」
という場合もあります。
それでも大丈夫です。
お話だけですべてを判断するわけではありません。
経絡治療では、お話を伺ったうえで、脈をみたり、お腹を触れたり、経絡の反応を確認したりしながら、身体全体の状態をみていきます。
お話と身体の反応が一致することもあれば、本人が気づいていなかった変化が見つかることもあります。
逆に、
「特に問題はなさそうですね」
ということもあります。
何も問題がないと確認できることも、身体をみるうえでは大切なことです。
「こんなことを言っていいの?」と思うことも伝えてください
患者さんの中には、
「こんなことは鍼灸とは関係ないですよね?」
と遠慮される方もいます。
でも、本人にとっては小さな変化でも、以前と違うことがあれば教えてください。
たとえば、
「最近、妙に眠い」
「なんとなく食欲がない」
「以前より冷えを感じる」
「最近イライラしやすい気がする」
などです。
こういうことも、身体をみるための情報のひとつになります。
「関係あるか分からないから言わない」よりも、「最近こういう変化があります」と教えていただけるほうが、その日の状態を考える材料になります。
症状だけではなく、「いつもと違う」を教えてください
鍼灸を受けるときに、何を伝えればいいのか迷ったら、
「最近、いつもと違うことはないかな?」
と考えてみてください。
例えば
-
眠り
-
食欲
-
便通
-
冷え
-
汗
-
疲れ方
-
気分の変化
-
生活リズム
-
最近の環境の変化
などです。
全部を細かく話す必要はありません。
思い当たることがあれば、話してみてください。
そこから必要なことは私の方から伺っていきます。
経絡治療では、お話と身体の状態を合わせてみていきます
経絡治療では、患者さんから伺ったお話だけで「このツボに鍼をする」と決めるわけではありません。
お話を伺いながら、脈をみて、お腹を触れ、経絡の反応なども確認します。
そして、それぞれの情報を合わせながら、その日の身体の状態をみていきます。
症状だけでは分からない身体の変化があることもあります。
反対に、気になっていた症状があっても、身体全体をみると別のところに変化が出ていることもあります。
だから、経絡治療では「何がつらいか」だけではなく、「最近の身体はどうだったか」も大切にしています。
うまく話せなくても大丈夫です
鍼灸が初めての方は、
「何を話せばいいのか分からない」
「症状を説明するのが苦手」
「うまく伝えられるか心配」
ということもあると思います。
大丈夫です。
最初からうまく説明する必要はありません。
「最近なんとなく疲れています」
「よく分からないけれど、身体がおかしい気がします」
そんなところからでも構いません。
お話を伺いながら、こちらから確認していきます。
身体のことを一緒に確認していくためのお話なので、きれいに整理して伝える必要はありません。
「そういえば、最近こんなこともあったな」
と思い出したことがあれば、そのときに教えてください。
そうした小さな変化も含めて、今のお身体をみていきます。
無理に施術をおすすめすることはありませんので、「自分の身体のことをもう少し知りたい」と感じる方は、お気軽にご相談ください。
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