鍼灸でいう「身体が整っている」って、どういう状態?

― 症状だけではなく、お身体全体のバランスをみています ―

「鍼灸で身体を整える」とお伝えすることがあります。


でも、

「身体が整っているって、具体的にはどういう状態?」

と思ったことはありませんか?


肩こりがなくなったら整ったということ?

痛みがなくなったら整ったということ?

それとも、疲れなくなったら?


実は、経絡治療で考える「身体が整っている」というのは、ひとつの症状がなくなった状態だけを指しているわけではありません。


今回は、経絡治療ではどのように「身体が整ってきた」と考えるのか、できるだけわかりやすくお話しします。

「症状がない=身体が整っている」ではありません

たとえば、肩こりで鍼灸を受けたとします。


何回か施術を受けて肩のつらさがなくなった。

これは、とても嬉しい変化ですよね。

ただ、肩が楽になったからといって、身体全体が同じように整っているとは限りません。


肩は楽になったけれど、

「最近、眠りが浅い」

「朝起きても疲れが残っている」

「以前より冷えを感じる」

ということもあります。


反対に、肩こりそのものは少し残っていても、

「前ほどつらくなくなった」

「疲れても一晩寝ると回復するようになった」

「以前よりよく眠れるようになった」

という変化が出ていることもあります。


そのため経絡治療では、症状だけを見て身体の状態を判断するのではなく、全体の変化を確認していきます。

経絡治療では「身体全体」をみます

経絡治療では、最初から「肩が痛いから肩に鍼をする」という考え方だけで施術をするわけではありません。

お話を伺いながら、

  • 脈の状態
  • お腹の状態
  • 経絡の反応
  • 冷えや熱
  • 身体の緊張
  • 疲れ方
  • 睡眠や食欲など日常の変化

などを確認します。

これは、ひとつひとつを別々に考えるというより、今のお身体がどのような状態になっているのかを全体としてみていくためです。


同じ「肩こり」でも、身体の状態は人によって違います。


また、同じ人でも、前回と今回では違うことがあります。


仕事が忙しかった週と、ゆっくり過ごせた週では、お身体に出ている反応も変わります。

「脈を診る」「お腹をみる」のは、そのためです

経絡治療では、脈診や腹診、切経などを行います。

初めての方は、

「どうしてお腹を触るんですか?」

「脈を診て何がわかるんですか?」

と思われるかもしれません。


これは、身体の中の状態をひとつの場所だけから判断するのではなく、いろいろなところに現れている反応を合わせて、お身体の状態をみるためです。


たとえば、お腹の一部分が硬いからといって、それだけで「ここが悪い」と決めるわけではありません。

脈や経絡の反応、お話を伺った内容などと合わせて考えます。

そして、施術をした後にももう一度身体を確認します。


鍼をしたことで、経絡やお腹、脈などにどのような変化が出たのかを確認しながら、次に必要な施術を考えていきます。


「鍼をして終わり」ではなく、施術によってお身体がどう変化したのかを確認する。


ここも、経絡治療の特徴のひとつです。

身体が整ってくると「症状以外」の変化もあります

お身体の状態が変わってくると、症状そのもの以外のところで変化を感じる方もいます。

たとえば、

「朝の目覚めが少し楽になった」

「夜、自然に眠くなるようになった」

「以前より呼吸がしやすい」

「疲れても回復するのが早くなった気がする」

「身体の冷えが以前ほど気にならなくなった」

などです。


もちろん、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。


また、こうした変化だけで身体の状態を判断するわけでもありません。


ただ、「痛みがなくなった」という一つの変化だけではなく、

日常生活の中でどう感じるかも、お身体をみていくうえで大切な情報になります。

「無理をしても大丈夫」になることではありません

ここは少し誤解されやすいところです。

「身体が整ったなら、多少無理をしても大丈夫」

ということではありません。


どんなに調子が良いときでも、睡眠不足が続いたり、仕事が忙しかったりすれば、身体は疲れていきます。

季節の変化や気温差などで調子を崩すこともあります。


身体が整っているというのは、

何があっても疲れない身体になることではなく、

その時の生活や環境の中で、お身体のバランスが保たれている状態を目指していくことと考えています。

「身体の声がわかるようになる」ことも大切です

鍼灸を受けるようになって、

「今日は少し疲れているな」

「最近、眠りが浅くなってきたな」

「この時期になると身体が重くなりやすいな」

と、自分の身体の変化に気づくようになる方もいます。

これは、とても大切なことだと思っています。


体調を崩してから慌てて対処するのではなく、

「少し疲れているから今日は早めに休もう」

「最近無理をしていたから、予定を少し減らそう」

と、自分で調整できるようになる。


そうやって日々のお身体と付き合っていくことも、東洋医学でいう「養生」につながっていきます。

経絡治療では、その日の身体に合わせて施術します

経絡治療では、毎回同じツボに同じように鍼をするわけではありません。

前回はそのツボへの反応が良かったけれど、今回は別の場所に反応が出ている。

前回は強く出ていた反応が、今回は弱くなっている。


そうした違いを確認しながら、その時のお身体に必要な経穴を選びます。


鍼をして、身体の変化を確認して、また必要なところをみていく。


こうしたことを繰り返しながら、その方のお身体の状態に合わせて施術を組み立てていきます。


そのため、

「肩こりがあるから、肩にたくさん鍼をする」

というだけではありません。


肩こりがあっても、身体全体をみたうえで、今必要なところに鍼をする。


これが、しんしん調和鍼灸院で行っている経絡治療です。

「なんとなく調子が悪い」でも大丈夫です

経絡治療は、はっきりした症状があるときだけのものではありません。

「病院で検査をしたけれど、特に問題はなかった」

「何が原因かわからないけれど、ずっと疲れている」

「眠りが浅くて、朝からすっきりしない」

「以前より身体の調子が安定しなくなった」

そんなときも、お身体をみることで何か手がかりが見つかることがあります。


もちろん、鍼灸ですべての症状に対応できるわけではありません。


必要な場合には、医療機関への受診をおすすめすることもあります。

そのうえで、鍼灸でお身体の状態を確認してみるという選択肢もあります。

「経絡治療を受けてみようかな」と思ったら

経絡治療では、症状のある場所だけを見るのではなく、今のお身体全体がどのような状態なのかを確認するところから始めます。

「肩がこっているから肩に鍼」

「頭が痛いから頭に鍼」

という単純な施術ではなく、その方のお身体に出ている反応をみながら、必要な経穴を選んでいきます。


鍼が初めての方には、

「こんなに少ない鍼で大丈夫なの?」

と思われることもあります。


しんしん調和鍼灸院では、必要以上に刺激を加えるのではなく、お身体の反応を確認しながら、やさしく施術することを大切にしています。


「自分の身体が今どんな状態なのか知りたい」

「症状だけでなく、身体全体をみてもらいたい」

「強い刺激ではなく、落ち着いて鍼灸を受けたい」

そんな方には、経絡治療という鍼灸を知っていただけたらと思います。


無理に施術をおすすめすることはありませんので、「自分の身体を一度きちんとみてもらいたい」と感じる方は、お気軽にご相談ください。

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