食べたものは、どう身体の力になる?
食べ物が消化吸収され、「気・血・津液」へとつながる東洋医学の考え方

私たちは毎日、食事をしています。
ご飯やパン、野菜、肉、魚など、口にした食べ物は胃腸で消化され、身体に必要な栄養として吸収されます。
では、東洋医学では、食べたものがどのように身体の力になっていくと考えられているのでしょうか。
東洋医学には、飲食物から「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」がつくられるという考え方があります。
これらは、身体を動かしたり、全身に栄養を届けたり、身体を潤したりするために欠かせないものとして捉えられています。
今回は、食べたものが体内でどのように変化し、気・血・津液につながっていくのかを見ていきましょう。
① 食べ物は胃で受け入れられ、消化される
東洋医学では、食べ物を受け入れて消化する働きに「胃」が関わると考えます。
胃には、飲食物を受け入れ、消化して、次の段階へ送り出す働きがあります。
東洋医学では、このように飲食物を消化していく働きを「腐熟(ふじゅく)」といいます。
腐熟とは、食べ物を胃の中で消化し、身体が利用できる状態へと変化させていくことです。
その後、飲食物は小腸へ送られ、身体に必要なものと、そうでないものに分けられていきます。
ここで大切になるのが「脾(ひ)」の働きです。
② 脾の働きで「水穀の精微」がつくられる
東洋医学では、食べ物や飲み物のことを「水穀(すいこく)」といいます。
水は飲み物、穀は穀物をはじめとする飲食物を表しています。
そして、飲食物から取り出された、身体に必要な栄養や水分などを「水穀の精微(すいこくのせいび)」と呼びます。
この水穀の精微をつくり、身体の必要なところへ運ぶ働きを担うのが「脾」です。
脾の主な働きには、次のようなものがあります。
- 飲食物から身体に必要なものを取り出す
- 取り出した栄養や水分を全身へ運ぶ
- 気・血・津液をつくるための材料を供給する
この一連の働きを「運化(うんか)」といいます。
運化とは、飲食物を消化吸収し、身体が利用できるものに変えて運ぶ働きのことです。
ここでいう脾は、現代医学でいう脾臓そのものではありません。
東洋医学では、消化吸収や栄養の運搬などに関わる一連の働きを「脾」という機能として捉えています。
つまり、食べたものが身体の力になるためには、
胃で消化されるだけでなく、
脾の運化によって身体に必要なものを取り出し、運ぶことが重要だと考えられているのです。
③ 水穀の精微から「気・血・津液」がつくられる
脾の働きによってつくられた水穀の精微は、身体を支えるさまざまなものの材料になります。
その代表が「気・血・津液」です。
それぞれ役割が異なります。
気(き)― 身体を動かすための力
気は、身体の生命活動を支えるエネルギーのようなものです。
呼吸をする、身体を動かす、体温を保つ、内臓が働くといった、日々の活動を支えています。
東洋医学では、気には次のような働きがあると考えられています。
- 推動作用(すいどうさよう):身体のさまざまな働きを促し、血や津液を巡らせる
- 温煦作用(おんくさよう):身体を温める
- 防衛作用(ぼうえいさよう):身体を外からの影響から守る
- 固摂作用(こせつさよう):血や津液などが必要以上に漏れ出ないように保つ
- 気化作用(きかさよう):身体の中で物質を変化させる
気は食べ物だけからつくられるわけではありません。
東洋医学では、
食べ物から得られるものに加え、
呼吸によって取り入れる自然界の清らかな空気や、
生まれながらに備わっている力も関係すると考えます。
そのため、食事と呼吸の両方が、気を養ううえで大切になります。
血(けつ)― 全身を養うもの
血は、身体のすみずみまで栄養を届け、組織や器官を養うものとして考えられています。
現代医学でいう血液と重なる部分もありますが、東洋医学の「血」は、それだけに限らない概念です。
血には、身体を養う働きのほか、精神活動を安定させる働きもあると考えられています。
血が十分に行き渡ることで、身体の各部分が養われ、心身の働きも保たれるという捉え方です。
血は、水穀の精微を材料としてつくられます。
その生成には、脾胃の働きだけでなく、肺や心など、ほかの臓腑の働きも関係すると考えられています。
津液(しんえき)― 身体を潤す水分
津液は、身体の中にある正常な水分の総称です。
皮膚や粘膜、関節など、身体のさまざまな部分を潤し、働きを滑らかに保つものとして考えられています。
津液は、性質の違いから「津」と「液」に分けて説明されます。
- 津(しん):比較的さらさらとしていて、皮膚や身体の表面などを潤す水分
- 液(えき):比較的濃厚で、関節や身体の深い部分などを潤す水分
飲食物に含まれる水分などをもとに、脾胃の働きによってつくられ、肺や腎などの働きとも関わりながら全身に行き渡ると考えられています。
津液は、単に飲んだ水がそのまま身体を巡っているということではありません。
身体に必要な水分を取り入れ、
必要な場所へ届け、
余分なものを排出する、という一連の働きとして捉えられています。
④ つくられたものは、どうやって全身に運ばれるの?
ここまで、飲食物から水穀の精微がつくられ、気・血・津液へとつながることを見てきました。
では、それらはどのように全身へ運ばれるのでしょうか。
ここでは「肺」「心」「腎」の働きも関わってきます。
肺(はい)
肺は、呼吸によって空気を取り入れるだけでなく、脾から送られてきた水穀の精微や津液を全身に行き渡らせる働きがあると考えられています。
また、呼吸によって取り入れた清気と、飲食物から得られた気が合わさることで、身体を支える気がつくられると考えます。
心(しん)
心は、血を巡らせる働きに関わると考えられています。
脾胃から得られた水穀の精微などをもとに血がつくられ、心の働きによって全身へ巡るという捉え方です。
腎(じん)
腎は、身体の水分代謝や排泄に関わる働きを担うと考えられています。
全身に行き渡った津液のうち、必要な水分は身体に保たれ、余分な水分は膀胱へ送られて尿として排出されると考えます。
ここでいう肺・心・腎も、現代医学の解剖学的な臓器とまったく同じ意味ではありません。
東洋医学では、それぞれの臓腑が持つ機能や働きを組み合わせて、身体全体の状態を捉えています。
⑤ 食べたものが身体の力になるには、脾胃の働きが大切
東洋医学では、脾胃は気・血・津液をつくるための大切な土台と考えられています。
そのため、食べる量や内容だけでなく、食べたものを消化吸収し、身体に取り入れる働きにも目を向けます。
たとえば、食事をしていても、食欲がない、胃がもたれる、食後に眠くなる、お腹が張るといった状態が続くことがあります。
東洋医学では、こうした状態を考えるときにも、脾胃の働きに注目します。
また、食べる時間が不規則だったり、食事を抜くことが多かったり、食べ過ぎが続いたりすると、脾胃に負担がかかると考えます。
毎日の食事では、次のようなことを意識してみましょう。
- 食事を抜かず、できるだけ規則正しく食べる
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 食べ過ぎず、自分に合った量を心がける
- 冷たいものばかりに偏らず、温かい食事も取り入れる
特別な食材をたくさん取り入れることよりも、まずは毎日の食事を無理なく続けられる形に整えることが大切です。
経絡治療では、身体全体の状態を確認します
食べたものが気・血・津液へとつながり、全身を養っていくためには、脾胃だけでなく、さまざまな臓腑や経絡の働きが関係すると東洋医学では考えます。
しんしん調和鍼灸院の経絡治療では、四診法(望診・聞診・問診・切診)を通して、その日の身体の状態を確認し、証(あかし)を立てて施術を行います。
本治法では、身体全体の経絡のバランスを整えることを目指し、標治法では、現在感じている痛みやこり、違和感などに合わせて施術を行います。
同じように食事をしていても、身体の状態は一人ひとり異なります。
食事や睡眠などの日常生活にも目を向けながら、身体全体の状態を確認していくことが大切です。
「食事には気をつけているのに、疲れやすい」
「胃腸の調子が気になる」
「身体全体の状態を一度みてもらいたい」とご自身の状態が気になる方は、
無理に施術をおすすめすることはありませんので、一度ご相談ください。
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